『桜蘭高校ホスト部』2話の演出をみられるようになりたい
桜蘭高校ホスト部
第2話「高校生ホストのお仕事」
脚本:榎戸洋司
絵コンテ:佐藤イチ
演出:安斎剛文
作画監督:菅野宏紀
作画監督補佐:稲留和美
視線とカメラワーク
ホスト部生活にいまいち馴染めないでいるハルヒは、ある日、 常連客のひとりである春日崎奏子に気に入られる。彼女には珠洲島享という許婚がいて、彼のことを好いてもいた。しかし想いを伝えることができず、その反動で 「さすらいのホストめぐり」を続けている。
珠洲島くん初登場のシーン。
90度ずつのカメラ視点変更を加えて、珠洲島くんのもとにカットは戻る。しかし次のカットでは春日嬢からみた彼への視点(前カットからさらに90度回転したもの)は描かれず、視線を外す彼女と、届かない思いのように珠洲島通商の箱が描かれているようにもみえます。(追記:「春日嬢の切なそうな反応→珠洲島くんの視線は右から左に→視聴者から見える珠洲島くんの視線の意味の変化」なのかも)
カメラはこんな感じですかね?
その後、ホスト部の画策のもとで環と春日嬢、ハルヒと珠洲島くんが会話するシーン。
彼を振り向かせるためのホスト巡りなんて必要ない。環は画面の右に、春日嬢は左にと非常に近い距離感でありながらもどこか噛み合っていない感覚を抱かせる。このカット割りは他作品でも見覚えが……
第8話 「プリキュア解散!ぶっちゃけ早すぎ!?」
桜蘭の監督である五十嵐卓哉さんの回です。
ここではなぎさのカットから左にじわPANしていて、ほのかの存在とぶつける気持ちの方向性を表しています。
話をもとに戻すと、上記の環のカットでは「君には駆け引きとか向いてないんだと思う」と言いながら、カメラは動きません。
しかしその後、春日嬢から横PANし、違う部屋でハルヒと話す珠洲島くんへと続く。「留学だって勝手に決めて……」という春日嬢と留学して大きな男になって振り向かせたいと語る珠洲島くん。思いの方向性と噛み合わない視線が印象的です。
ハルヒと話す珠洲島くんの姿を見て、ショックを受ける。2度にわたってグーっとTUする様は一気に春日嬢の心情(内面)の変化に関心をひかせますね。集中力上がります。
この回、何度も孤独な背中が描かれていたが、その背中を追いかける珠洲島くん。
3枚目のあおり、めっちゃかっこいいす。
手前へ走る春日嬢、画面右へと走る珠洲島くんは、登場時にふたりが起こすことのできなかった行動のベクトルと一致しているような。
そしてふたりは踊る。
ホスト部という謎の集団に対するハルヒのスタンス、そしてこれからどのようにお話を進めていくのかという点を網羅したとても良い回だと思います。爽やかな読後感ですごく幸せな気持ちになりますね。
全く的外れかもしれません。